営業の目標はクロージングを成功させること
営業活動をしていく時にはいくつかのフェーズがありますが、その最終部分にあたるのが「クロージング」です。
「クロージング(Closing)」は「閉じる(Close)」からきた言葉で、それまで展開してきた活動を畳んで仕舞うというイメージです。
端的に言えば、このクロージングをどのようにするかによりそれまでの営業活動の良し悪しが決まります。
まず一般的な営業活動の流れをおさらいしてみると、各フェーズは「リスト作成」「アポイントメント取り」「資料作成」「客先訪問・プレゼン」「クロージング」があって、そこまで終わって初めて契約内容が履行されます。
どのフェーズも重要であるということには変わりがないのですが、クロージングはその最後のまとめとなることから、そこで大きな失敗をしてしまうことにより、それまで積み上げてきたものが一気に台無しになってしまう危険があります。
この一連の流れのことを営業用語で言うと「案件管理」となります。
営業活動はそれ一つだけにかかりきりになるということはほぼなく、普段の活動においては複数の案件を複数のスタッフで分担しながら行っていくようになります。
場合によってはある案件では新規獲得のためのプレゼンをしつつ、同時期にクロージングをするというようなこともありますので、しっかり一つの案件ごとに流れを把握して適切な時期に適切なフォローをしていくことが重要になってきます。
大口顧客に対してクロージングまで達成すると、それにより営業チーム内の結束を高まり、次回の案件へのモチベーションへとつなげられます。
どこか一つの業務やスタッフだけに偏った仕事のやり方をしていると、どうしても対応にムラが生じてくるので、経営者や営業部の管理職の指揮のもと、スタッフ同士でお互いの進捗状況をわかりやすくしていくことが重要です。
クロージング率を高めるための具体的な手法
営業の流れをもう一度紹介すると「リスト作成」「アポイントメント取り」「資料作成」「客先訪問・プレゼン」「クロージング」という流れがありますが、これはそれぞれ次のフェーズに行くごとに途中で立ち消えになってしまう案件が出てきます。
最も多く数が減るのは「リスト作成」から「アポイントメント取り」の間ですが、実際に訪問をしてそこでプレゼンをしても、客先のニーズにうまく答えることができずそこで活動が中止になることも珍しくありません。
クロージング率は言い換えるならば契約成立率ということになりますので、それぞれのフェーズから次のフェーズに移るときの離脱率を少しずつでも減らしていくことが最終的なクロージング率を高めることにもなります。
クロージング率を高めるためにまず「案件管理」をきちんと行うということがまず大前提になります。
担当者は進捗情報を管理しすぐに参照できるようにする必要がありますが、その方法はいくつかあります。
昔ながらの方法で行けば、ホワイトボードを使った掲示や定期会議といったものがありますが、現在では便利な業務スケジュール用のアプリケーションがありますので、そちらを利用することで人員が移動してもすぐに対応をしやすくなります。
進捗管理をするためのアプリケーションソフトとしては、クラウド上で日報管理ができる「houren.so」や、営業目標達成までのスケジューリングが可能な「ganmba!(ガンバ)」といった無料で便利なものがスマホ版で提供されています。
しかしいくらスケジュールや進捗の管理をしているからといって、ただその日に起こったことを記録しているだけでは意味がありません。
適切にクロージングをしていくためにはまずしっかりとゴールを設定しなくてはいけません。
最初にアポイントメントを取ってからクロージングまでの期間は短いほどよい結果をつくりやすくなります。
何度も何度も足繁く通うことで相手企業の担当者からの覚えはめでたくなるかもしれませんが、逆に親しくなりすぎてしまい商談がしづらくなってしまうということも起こります。
話が出始めた時には熱量のあった話題も、何度か会議をしていくうちに惰性でなんとなく話をするようになってしまうということも営業ではよくあることなので、成約率を着実に上げるためには一回ごとの会合に意義をもたせることが大切になってきます。
相手企業側のレスポンスが遅くてなかなか進捗しないということもあるでしょうが、その場合はいつまでもその仕事に関わっているよりは、もっとスピーディに動くことができる案件に集中した方が有効です。
「案件管理の効率化」というものですが、案件単価に対してそれにかかる時間がどれくらいであるかということを考えて優先順位を決めていくようにしましょう。
ましてや客先ではなく社内の意思決定プロセスが複雑化していることにより、案件へのGOサインが遅れてしまうなどというのは言語道断です。
クロージング率を高めるためには営業担当者一人の力で行うのではなく、上司や経営者を含めたチームで強力をしていくということが必須事項になるということは心にとどめおいてもらいたいところです。
案件管理の優先順位は営業担当者の判断で行うのが通常ですが、大きな仕事になると上司側の事情により優先業務が変化することもあります。
正式に契約をとるための最後のクロージングにはタイミングも重要になってくるので、優先順位の高い案件についてはチャンスが来たらすぐにでも行動に移せるように準備を整えておくようにしましょう。
クロージングに至るまでの基本的な行動計画
新規顧客を獲得する場合、取引相手から先に具体的に「こういう製品がほしいので予算いくらくらいでできるか」と明確な指示があるなら行動は簡単です。
しかし中には製品の仕様も金額も明確ではないままなんとなく話を進める案件もありますので、そうした場合にはどうしても話し合いの回数や時間が長くなってしまいがちです。
建築や工業の受注生産品ということならば致し方ない面もありますが、基本的に既存の製品やサービスを販売するのであれば、営業担当者が訪問をするのはせいぜい2~3回にとどめておくべきです。
だらだらとした訪問を防ぐためには、事前にそのときに何をどのように決めたいかという課題を先に提示しておくということが重要になります。
そのためには資料や見積もりは訪問したときに初めて見せるのではなく、先にメールやFAXなどで内容を伝えておくということが有効な手段となります。
会議やプレゼンが長くなる理由の一つが、その場にて立ち会ったときに初めて考え始めるという習慣ができていることです。
その場になって初めて情報開示をすると、どうしてもその場で思いついたことで話し合いが進むので、指示された分を修正してもまた次の思いつきで計画が二転三転してしまったりします。
営業でのクロージング率を高めるということと、クロージングまでの時間を短縮するという努力はほぼ同じ内容であるとも言えます。
アメリカでは「インサイドセールス」という相手企業に訪問をすることなく、見積もりや納期などデータ交換により素早く話し合いをするという方法が一般的となっています。
インサイドセールスの場合、取引相手と全く顔を合わせることなく取引が進むということもあり迅速な決定ができる企業同士の契約に大変適しています。
完全に「人」の要素を除外した営業方法であるので日本的な企業風土では導入が遅れていますが、究極的にはそこまで達成をすることでクロージングまでに発生するロスの大部分を防ぐことができます。
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